コラム COLUMN
部分矯正とは？適応症例について
歯の矯正治療を考えている患者さまへ。ここでは、部分矯正と全体矯正の違い、それぞれのメリットとデメリット、さらにどのような症例が部分矯正に適しているかを分かりやすくお話します。
■部分矯正とは？
部分矯正は、全ての歯ではなく、前歯のみや一本のみなど、気になる部分だけを矯正する方法です。全体的な矯正に比べて、治療期間が短く、費用も抑えられるため、部分的な歯並びが気になる方には最適です。 全体矯正については、奥歯を含めた全ての歯を治療の対象とし、噛み合わせの改善や広範囲の治療を行います。この方法は、より複雑な歯並びや噛み合わせの問題を解決する際に選ばれることが多いです。 特に「この歯だけ気になる」という方には、部分矯正がおすすめです。短期間で終わることが多いので、忙しい方にも向いています。
■部分矯正のメリット
部分矯正の主なメリットは以下の通りです
・コストが抑えられる
全体の矯正に比べて、部分矯正は使用する器具が少なく、治療期間も短いため、全体的なコストが抑えられます。症例によって異なりますが、ほとんどの場合、全体矯正よりも安くなるでしょう。
・治療期間が短い
全体矯正には2年から3年かかることが多いですが、部分矯正では半年から1年半程度で完了することが多いです。これにより、矯正装置を付けている期間が短くなり、矯正を気づかれにくいのも大きなメリットです。また、通院回数も少なくて済むため、忙しい方にも向いています。
・痛みが少ない
部分矯正は特定の歯だけを動かすため、全体を矯正するより歯を動かす距離が短く痛みも少なく済みます。矯正治療に対する恐怖がある方にも、部分矯正は安心して始められる治療法です。
・始めやすい
治療費の面、時間の面、痛みの面でメリットが多いため、部分矯正は心理的にも始めやすいです。特に、矯正治療が大がかりで手を出しづらいと感じている方にとって、手軽に始められる選択肢と言えるでしょう。 以上の点から、部分矯正は「手軽で、早く、痛みも少ない」というメリットを持ち、多くの方に選ばれています。
■部分矯正のデメリット
部分矯正には様々なメリットがありますが、一方で注意すべきデメリットも存在します。
・かみ合わせの調整が難しい
部分矯正は、主に見た目の改善を目的として特定の歯だけを動かします。ですので、全体のかみ合わせを調整することはできません。かみ合わせの問題が原因で、食事の際の不快感や頭痛、肩こりなどの他の問題を引き起こす可能性があるため、この点は特に注意が必要です。
・後戻りのリスク
部分矯正では根本的な歯並びの原因ではなく、見た目上の問題を解決します。そのため、治療後に歯が元の位置に戻る可能性があります。これは「後戻り」と呼ばれ、長期的な観点から見ると、再度治療が必要になることも考えられます。
・動かせる歯の制限
部分矯正は、限られた歯のみを動かすため、動かせる距離や方向に限度があります。大きく歯並びがズレている場合や、特定の方向に大きく歯を動かす必要がある場合には、部分矯正では対応が難しいことがあります。 これらのデメリットを理解した上で、ご自身の状態や目指す結果をしっかりと歯科医師と相談し、最適な治療計画を立てることが大切です。部分矯正が適している場合もあれば、全体的な矯正が必要な場合もありますので、個々の状況に最も合った選択をすることが重要です。
■部分矯正に向いている症例
部分矯正にはいくつかの制限があり、すべての症例に適しているわけではありません。特に、複雑な歯並びの問題や骨格に関わる問題がある場合、部分矯正では対応が難しいことが多いです。 部分矯正で治療可能な一般的な症例は以下のようなものがあります
・軽度の叢生（乱杭歯）
叢生（そうせい）は歯が重なり合ったり、不規則な方向に生えたりしている状態です。これが軽度の場合、特定の歯だけを少し動かして整える部分矯正で対応可能です。例えば、八重歯などがこれに該当します。
・軽度の出っ歯
前歯がわずかに前に出ている程度の出っ歯は、部分矯正によって改善可能です。ただし、歯の位置の微調整に限られ、大きな骨格の問題がある場合には適していません。
・すきっ歯
前歯の間に隙間がある場合、部分矯正によって歯を適切に動かし、隙間を縮めることが可能です。
・一本の歯の矯正
一本の歯の位置が少しズレている場合、部分矯正でその歯だけを目立たないように調整することができます。 これらの症例に当てはまるかどうかは、歯科医師による診断が必要です。部分矯正は、見た目の問題を中心に対応しているため、詳しいカウンセリングと診断を受けることをおすすめします。
■部分矯正ができないケース
1. かみ合わせの問題がある場合
歯の上下がしっかりかみ合っていることは、口の機能にとって非常に重要です。特に奥歯のかみ合わせに問題がある場合、部分矯正だけでは十分な治療が行えないことが多いです。
2. 抜歯が必要な場合
矯正治療で抜歯が必要な場合は、通常、歯を大きく動かす必要があります。これは、全体矯正によってしか対応できない状況が多く、部分矯正では治療が困難です。
3. 重度の歯並びの問題がある場合
重度の歯の重なりや極端なガタガタの状態は、部分矯正では対応が難しいです。これらの症例では、歯の間のスペースが不足しており、歯を抜いたり大きく削ったりする必要が生じることがあります。そのため、より広範囲な治療ができる全体矯正をすすめることが多いです。
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